結婚キャッシング

結婚キャッシング

 

靜かに今見よ、園の白壁しらかべにぞ
楊やなぎの一つ樹枝こえだの影映うつれる。
その影忽ち滅えぬ、――かの蒼波あをなみ
かくこそ海原闇き底に潜ひそめ、
影また漸く明あかり射さす光の
眩まばゆく白く纒ふをながめいれば、
かつ墮おちかつ浮び來るそのきそひに
滿ちまた涸れゆくこころ禁とどめかねつ。

 

運命深き轍わだちの痕あと傳へて
見えざる車響けば、宴樂うたげにほひ、
歌聲輟やむも束の間、おもへばげに
こは世に痛き鞭笞しもとや壁なるかげ――
むちうて、汝いまし虚むなしく見えなせども
花園榮なき日にもこは無窮とこしへ

 

冀願ねがひは強きちからにあげられつゝ
隙ひまなき吐息といきにきざすそのおもひも、
知らずや、はじめはこの世荒野のそと、
やすみのかげにこぼれしかなしき種子。
その種子きのふ描ゑがきし夢をゆめみ、
今日しも燃ゆる火とこそ生ひたちけれ、
祕めしは深き焔の生せいなりしか、
誰かはもとのこころを知りつくさむ。

 

花草かくて生ひたち匂ひなせば、
ああまたたはぶれの鳥何日しか棲すみ、
花の芽ぬきて飛びゆく、――戀かいまし、
いとよき幸さちのみはやく啄つみ去る時
胸には殘る面かげ、――消しがたきは
唇顫ふるへて、たへぬ眼のうるほひ。